老人ホームで出し物をする時の注意点

老人ホームでは単調な生活に刺激を与えるために、レクリエーションや出し物が行われます。出し物は職員が高齢者に向けて行うことが多いので、内容ややり方に工夫が必要です。今回は出し物をする時に気を付けたいポイントを見ていきます。

人気の出し物と行う時のポイントも併せて知っておくことで、多くの高齢者が楽しめる出し物が作りやすくなるでしょう。

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老人ホームでのイベントは刺激になる

高齢者が集団で生活する老人ホームでは、基本的に食事や入浴の時間が決まっています。単調になりがちな生活に刺激を与えるために行われるのが、イベントやレクリエーションです。イベントやレクリエーションは入居者が集まって行われるので、他者との交流の場となります。

コミュニケーションの機会が増えることで、認知機能の維持向上も期待されるのです。イベントやレクリエーションの一環として、主に職員が出し物を行うこともあります。出し物の内容によってはその後の高齢者の会話を促進させる効果や、身体に刺激を与える効果も期待できるので、内容にも注目しましょう。

老人ホームでの出し物は大きく分かりやすく

老人ホームでの出し物は、高齢者が対象です。認知機能や身体機能は人によって違いますが、より多くの人が楽しめるように分かりやすい内容を心がけましょう。特に話す時は、大きな声でゆっくりと話すようにします。高齢者の中には、聴力が低下している方や言葉を理解するまでに時間がかかる方もいるからです。

テンポの速さや声の高さによっても聞き取りやすさが変わるので、注意しましょう。高齢者によっては、病気などによって視力が低下している方も多くいます。例えばマジックを披露するときも、小さなトランプですと見えにくく、内容が理解できない可能性が高いです。

モノを使う時は遠くからでも見えやすい大きなものを使います。また、演劇などをする時も分かりやすくするために、動きを大きくするように心がけます。

内容に考慮しよう

老人ホームで出し物をする時は、内容にも気をつけなければなりません。若者向けの内容や難しい内容のものは、高齢者にとって楽しめないものになる可能性が高いです。高齢者の中には、時代の流れの関係で十分な教育が受けられなかった方もいます。

入居者によって認知機能の程度も違うので、内容によっては充分に理解できないこともあります。例えば劇なら「水戸黄門」のような勧善懲悪もの、歌やダンスなら多くの人が知っているものを行うようにしましょう。ただし分かりやすい内容を心がけると言っても、相手は職員にとって人生の先輩であることを忘れてはいけません。

出し物の内容によっては「子ども扱いされている」と感じる方もいるかもしれません。披露する相手は子どもではなく、大人であることを忘れないようにしましょう。

失敗を恐れない

出し物の内容によっては、事前に練習が必要な場合もあります。この時に心がけたいのが、失敗を恐れないことです。出し物を披露しようとして動きが硬くなったり、演技がわざとらしくなってしまうかもしれません。マジックのタネがばれそうになったり、セリフを急に忘れてしまうこともあるでしょう。

出し物は高齢者に楽しんでもらうために行うものです。もし失敗しそうになったら、笑いに変えるように心がけます。もし途中ぎこちなくても、最後は笑いで終わるようにすることが大切です。

相手の意思を尊重しよう

イベントや出し物は、集団生活に刺激を与えるために行われます。入居者が一緒に楽しむ機会が作られることで、入居者同士の交流の機会にもなるでしょう。しかし老人ホームは、入居者によって認知機能が異なります。ある人にとっては適切なレベルでも、難し過ぎてやる気がうせてしまう方もいれば、簡単すぎて馬鹿らしく感じてしまう人もいるのです。

もしイベントや出し物への参加を嫌がるようなら、相手の意思を尊重するようにします。イベントや出し物は無理に参加してもストレスにつながるだけです。

相手がもし参加したくないと感じたなら、その意思を最大限尊重するようにしましょう。

披露型出し物4選

主に職員が行う披露型出し物でおすすめしたいのが、「マジック」「落語」「二人羽織」「劇」です。披露型出し物を行う時は、見ただけで分かりやすく楽しめる内容にしていきます。

マジックは一見すると難しそうですが、意外に単純な仕掛けなものも多いです。おもちゃ屋などで販売されているマジックグッズを利用するのもいいでしょう。落語や二人羽織は古くから出し物として親しまれてきました。落語は「まんじゅうこわい」「寿限無」といった定番で笑えるネタがいいでしょう。

二人羽織は後ろの人が前の人に食べさせるネタがおすすめです。特にケーキやシュークリームなどクリームがたっぷりついた食品は、失敗するとクリームが顔につくので、分かりやすいといえます。劇は多くの職員が協力して行う出し物です。

劇をきっかけに職員を知り、高齢者の方から声をかけてくれるようになることもあります。劇の内容は「桃太郎」などの昔話や、「水戸黄門」などの時代劇ものがおすすめです。特に正義の味方が悪人を倒す勧善懲悪ものは、分かりやすく見せ場も作りやすいので、盛り上がるでしょう。

音楽を使った出し物3選

「歌」「ダンス」「楽器の演奏」は分かりやすく、高齢者も一緒に参加して楽しみやすい出し物です。曲目は披露する場面によっても異なりますが、童謡や歌謡曲を選ぶようにします。高齢者の中には演歌が好きな方も多いのですが、歌うには難しい場合もあるので注意が必要です。

例えば春なら「さくら」「茶摘み」、クリスマス会なら「きよしこの夜」「ジングルベル」など、季節に合わせて曲を選ぶのもいいでしょう。ダンスも高齢者になじみのある曲で、一緒に身振り手振りがしやすい振り付けで踊ります。

楽器の演奏は、ハンドベルなど高齢者も一緒に参加できるものもあるので、職員が披露するだけにするのか、高齢者も一緒に参加できるようにするのかも併せて考えるようにしましょう。

クイズ形式の出し物は参加しやすい

参加型の出し物として、箱の中身を当てるクイズや、事前にとったアンケート内容から出題するクイズは高齢者も参加しやすく人気の高い出し物です。

ただしクイズ形式の出し物をする時は、特に分かりやすさを大切にする必要があります。ルールや内容は多くの人が理解しやすいように、簡単にします。紙やホワイトボードに書いておくのもおすすめです。例えば箱の中身を当てるクイズの場合は、他の人には中身が見えるようにしておくなど、直接参加していない人も楽しめるように工夫します。

認知機能に差があることも考慮して、終始笑顔で進行するように心がけましょう。